各メディアで一斉に取り上げられ話題となっているSABBATICALより、新幕が発表されました。
大人数用の大型シェルター、インナーテント取り付け可能なデュオ向けのテント、2サイズ展開のオープンタープ。
昭島アウトドアヴィレッジでの展示会をスケジュールの都合で逃してしまったんですが、その翌週に柏の葉T-SITEでおこなわれた展示を見に行くことができました。
SABBATICALとは
SNSやGO OUT、CAMP HACKなどの大手アウトドアメディアで足並みをそろえて情報公開されたのでご存知の方も多いことでしょう。
SABBATICAL(サバティカル)は大手アウトドアショップのA&Fが立ち上げたアウトドアギアのブランドです。
セレクトメインで展開してきたA&Fにとっては初の大きな取り組みで、このところ食傷気味だったアウトドアシーンにおいてちょっとホットなニュースだったんじゃないでしょうか。
新鋭アウトドアブランドZANE ARTSのデザイナーが関わっているだけあって、ポールの使いどころや幕の展開状態など、どこか重なるところがあります。
新幕をくまなくチェック
と、ここまでは既に知られている通りですが、では実際に見て触って感じた印象をレビューしていきます。
共通している特徴としては全てTC幕であることとプライス設定が良心的であること。
火の粉にビクビクせずに焚き火を楽しめるというのは大きな利点ですね。
カラーは全てライトベージュで、初回限定版でフォレストグリーンというカラーがあります。
TC幕はこのところ鳴りを潜めていた感がありますが、さていかがなものでしょうか。
SKY PILOT TC
手始めに大型シェルター的な位置付けのスカイパイロット TCを見てみましょう。
主なスペックは下記の通りです。
設営サイズ | L720cm×W380cm×H270cm |
収納サイズ | L82cm×W39cm×H29cm |
重量 | 本体14.7㎏、ポール5.6㎏、ペグ2.1㎏ |
素材 | ウォール:TC素材(コットン/ポリエステル混紡素材)・撥水加工、マッドスカート/トップキャップ:210Dポリエステルオックス |
ポール | スチール・Φ32mm・全長270cm、スチール・Φ22mm・全長180cm×4本 |
価格 | 76,800円 |
展開時の各部の寸法などは公式サイトで見れるのでそちらをご覧ください。
人間だけならざっと8〜10名ぐらいは入れてしまうサイズ感ですね。
ギアも入れて使うとなると6人ぐらいが妥当なところ。
まずはじめに、全ての幕に共通の生地について。
思っていたより厚めでした。
公式サイトに混率は書いてないのですが、その場にいたスタッフさんが、「コットン65%だったかな〜」と仰ってました。
実際手触りはほぼコットン。
タトンカのようなハリハリなTCではなくもったりしてます。
そりゃ重いよね〜。
触り心地はカーカムスのような滑らかな感じ。
では、中から見ていきましょう。
ちなみにこの日は猛暑で風もあまりなかったので、この設営パターンだとサウナ状態でした。
他の設営パターンも見てみたかったですね。
ライトベージュの色のわりに、陽射しはしっかり遮られていました。
個人的にとても気になっていた5本のポール使い。
空間を広げる狙いはわかりますが、5本も使い、かつ全ての出入口とシェルターの中心というポールを立てたくないところに配置するとは。
この真ん中のポールは、やはり少し気になります。
まぁこのところ二股化が流行っているので気になりましたが、センターポールは元々必要なものなので、これを含めてレイアウトすればいいだけかもしれませんが。
長辺のポールとポールの間は約280cmあるので、半分にドームテントを置いてカンガルー、残りの半分を前室、のように使うイメージであればしっくりくるかもしれません。
サイズ的に3〜4Pテントぐらいまで収まりそうです。
座った状態だと広く感じるんでしょうけど、4本のサブポールが180cmのため、私の身長(180cm)だと屈む場面が多く、立ち姿勢はそれほど楽ではありませんでした。
ちょっと暗くなってしまいましたが、トップのベンチレーター2つ。
高さ的にバーが無いと開けられませんね。
開放したベンチレーターはドローコードを引くとまとまる仕組みになっていますが、まとまったようなまとまっていないような。
狭い方の出入口のポールは内側に差し込むようになっています。
広い方は外側に差し込みます。
広い方の出入口は垂直になっているので外側からポール先端をガイラインで引っ張るのが必須です。
対して、狭い方の出入口はこのように幕が傾斜しています。
あ、だからこちらのポールは内側に立ってるんですね。
今更気づきました。
そのため、ボトムをしっかりペグダウンしておけば、ガイラインを張らなくても大丈夫そうです。
試しに張ってあるガイラインを緩めてみたところさほど形は変わりませんでした。
ペグダウンを端折れますね。
まぁ強風時やピンと張りたい場合、巻き上げたい時は必須ですけどね。
ポールの穴からの浸水を防ぐために、突き出たピンに被せる帽子が付いていました。
なかなか芸が細かい。
ちなみにこのナナメに引っ張っている4本のガイライン。
これも緩めてみたらそれほど形は変わりませんでした。
こちらもめんどくさい時は端折れそうです。
開放時にスカートを巻き上げられるようになっているのは便利ですね。
スカートはあれば冬場に暖かく実用的ですが、見た目的に収まりが悪いというのが悩みどころですからね。
出入口のメッシュの下にもスカートが付いているので、全方向からの雨や風の侵入を防いでくれます。
二重のドアはマジックテープで合体して二度開け閉めしなくて済むようになっています。
ドアにメッシュを内蔵してしまった方が良かったんじゃ……。
ちなみに我が家のベルテントもドアの部分がメッシュと二重構造になっていますが、メッシュで使いたい時はドアを巻き上げたままにしてメッシュしか開け閉めしないし、逆にドアを閉めておくような時は最初からメッシュは巻き上げたままにしておくので、両方開ける、ということ自体あまり無いんですよね。
MORNING GLORY TC
設営サイズ | L470cm×W440cm×H270cm |
収納サイズ | L77cm×W36cm×H23cm |
重量 | 本体9.2㎏、ポール3.7㎏、ペグ1.45㎏ |
素材 | ウォール:TC素材(コットン/ポリエステル混紡素材)・撥水加工、マッドスカート/トップキャップ:210Dポリエステルオックス |
ポール | スチール・Φ32mm・全長270cm、スチール・Φ22mm・全長180cm、スチール・Φ19mm・全長84cm×2本 |
価格 | 39,800円 |
続いては、デュオ向けのインナーを取り付けられるタイプのテント、モーニンググローリーです。
ポール3本で開口部が大きいこともあり、前室は思っていた以上に広かったです。
小テーブルとチェア2脚程度であれば余裕で収まり、これだけで雨をしのぐこともできそうです。
サイドのポールのアップ。
これにより入口を広くすることができています。
下からカマしてガイライン1本で固定できるのでそれほど手間ではなさそうです。
後部は左右二面開口の状態でした。
風通しが良さそうですね。
二面を閉じてセンターを開けることもできます。
フォレストグリーンという濃色ということもあり、ライトベージュと比べて幕内はだいぶ暗かったですね。
しっかりと遮光してくれています。
後部のトップにベンチレーターがひとつ。
てっぺんに被っている帽子は、開けて開放できるとかではなく浸水を防ぐためのもの、とのことでした。スカイパイロットにも付いてましたね。
こちらもスカート標準装備です。
インナーテントをセットすると後方半分は埋まります。
スペースはほとんど無いので物を置くことはできなくなります。
インナーの後部も開口できます。
前室内部です。
サイドのポールの脇の部分はメッシュで開けられていました。
反対側。
換気や視界の確保に役立ちます。
小さくても外が見えるところがある、というのは気分的にけっこう意味があると思います。
内側のトップ付近を見てみましょう。
ベンチレーターはスカイパイロットと同じでバータイプです。
入口側に向かってハンガーテープを吊り下げられる仕組み。
フックを引っ掛けるだけです。
張った後だと届かないので先に引っ掛けておかないとダメですね。
ハンガーテープは全ての幕に標準装備。
個人的には、ランタンはもちろんキッチンペーパーやら細々とぶら下げるためにハンガーは必須ですが、まぁ無くても後で何かしら装着することも可能です。
入口側も同じように引っ掛けるだけ。
ピンと張った状態で付けっぱなしにできるのであれば、その方がラクそうです。
インナーテントもフックに引っ掛けるだけ。
裾の手前側左右はフライシートに引っ掛けて固定するタイプなんですが後ろ側の左右はペグダウンするタイプでした。
後ろも同じじゃダメだったんでしょうか……。開放に差し支えるのか?
インナーテントの価格は11,800円。
サイズ的にも二人用ですね。
デュオ用途、または4人ぐらいまでのシェルターとしてであれば思っていたより使い勝手が良さそうでした。
MARIPOSA TC
オープンタープのMARIPOSAはMとLの2種類ありますが、サイズが違うだけなのでまとめてレビューします。写真左手前のフォレストグリーンがMで、右奥がLです。
<M>
設営サイズ | L410cm×W410cm |
収納サイズ | L75cm×W25cm×H20cm |
重量 | 本体4.85㎏、ポール5.45㎏、ペグ1㎏ |
素材 | TC素材(コットン/ポリエステル混紡素材)・撥水加工 |
ポール | スチール・Φ32mm・全長240cm×2本、スチール・Φ22mm・全長160cm×2本 |
価格 | 27,500円 |
<L>
設営サイズ | L500cm×W500cm |
収納サイズ | L79cm×W26cm×H22cm |
重量 | 本体6.7㎏、ポール6.05㎏、ペグ1㎏ |
素材 | TC素材(コットン/ポリエステル混紡素材)・撥水加工 |
ポール | スチール・Φ32mm・全長270cm×2本、スチール・Φ22mm・全長170cm×2本 |
価格 | 34,500円 |
こちらが大きい方のLです。
このぐらいのサイズでも4人ぐらいで過ごすのがゆとりがあって好きです。6〜8人ぐらい入れるでしょうけどちょっと狭め。
珍しくポールが4本付属しています。
そのわりにお値段はリーズナブル。
ただ、私の経験上、ポールは状況によって長さを変えたくなるので、付属のポールはいずれ使用頻度が下がってしまうんですよね。
最初から必要なものが揃っている、という点でエントリー用としては良いですね。
4本張り前提の縫製になっています。
2本でも張れなくはないそうですが、幕の重みもあるため、かなり強く引かなければならないようです。
4本で張ると縫い目のところで綺麗に折れ曲がっています。
角と各辺の真ん中にもグロメットがあるので、色々な設営バリエーションができます。
グロメットはしっかり補強されています。
フォレストグリーンのMです。
やはりこちらの方が遮光性が高いですね。
ソロからデュオぐらいが良さそうです。
MとLでちゃんとポールの長さを変えてあるというのは配慮が行き届いてますね。
タープにもハンガーテープ標準装備。
タープの場合、ポール先端ではなく少し低い位置に取り付けます。
展示会で実際に見た感想
と、こんな感じで新幕をマジマジと見てきましたが、正直なところ、細部や機能面で「ココは面白い!」というようなところは特に見つかりませんでした。
大型シェルターでTC幕のタイプというのはこれまで無かったので、そこは新しい試みだな〜と感じました。
つまるところこのシリーズの魅力って、途中で述べたように、「TC幕であり」「価格が良心的である」という二点に尽きるんじゃないかな、と。
実際、化繊幕に対して、コットン幕やTC幕の火の粉に対する安心感って比べものにならないですからね。
10デニールとか20デニールのシルナイロン幕なんて、「火の粉=死亡」ですし。
雨だろうがなんだろうが、幕の下でも気兼ねなく焚き火を楽しめる、かつ焚き火専用幕として手が出しやすい価格、そのゾーンを狙ったピンポイントの戦略ってことなのかもしれないですね。
ちなみに、展示を見に行ったのは情報公開から約3週間後ですが、その時点でほとんどのラインナップの初回ロットが完売していました。
実際には予約受付開始からほどなくで完売しているものもありましたが。。
初回限定のフォレストグリーンは既に全ラインナップ完売とのことです。
ではまた。
Have a good camp.
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