毎年春が近づくと、各地で新作ギアの展示がおこなわれます。
続々と各メーカーの新作情報が解禁される中、とても気になったひとつの幕がありました。
それが、ZANE ARTSの2ポールタイプの大型シェルター、GIGI-2。
アウトドアヴィレッジで開催された新作展示会で、実物をチェックしてきました。
ZANE ARTSのおさらい
平成も終わりに差し掛かった頃に、突如として現れたテントメーカー、ZANE ARTS。
何ひとつ持っていないくせに、勝手に好感を持っているんですが、それにはちゃんと理由があります。
品質が良い
道具という点で、ここはとても重要。
聞くところによると、ZANE ARTSはテントの開発において、とても研究熱心なようです。
標準的なテントメーカーであれば、機能として謳うのは、せいぜい耐水圧まで。
ZANE ARTSはそれに加えて引裂強度まで考えながら、しっかりと生地を開発しています。
自分が使う道具の機能をよく知るというのは、使う上での安心感に繋がります。
デザインがカッコいい
気の利いた言葉が全く思い浮かばないんですが、一言で表すと、「スタイリッシュ」。
テント・タープ問わず、全ての幕がサンドと黒の2色で統一されている。
それでいて突き抜けすぎているわけでなく、どんなスタイルにも馴染みやすいベーシックなところ。
直線が多く取り入れられた、どこか未来的なデザイン。
品質だけでなく、デザインにおいてもこだわりが感じられます。
価格が良心的
極めつけがこの点、ザ・適正価格。
どこか玄人向けなんじゃないかという風格すら漂うラインナップですが、最初の一幕として入りやすい価格設定です。
もちろん買い足しもしやすい。
買い足したい、、。
GIGI-2の実物を見て感じたこと
前置きが長くなりましたが、では実際に気になってしょうがなかったGIGI-2がどんなシェルターだったのかレポートします。
まずは前側、170cmほどのポールで前側だけ跳ね上げられたベーシックな設営。
ファミリーを想定してか、4人分のギアがレイアウトされています。
実際のキャンプの時のように見ることができ、とても参考になりました。
跳ね上げているので全てのギアが収まっているように見えますが、これだとクローズできないので、もう少し奥の方にギアを押し込まないといけないですね。
公式サイトにもある通り、素材は75DシリコーンポリエステルリップストップのPU加工。
PU加工のため遮光性が高く、写真を見てわかる通り、強い日差しでしたが幕内は暗め。
後ろから見た全体図。
幅7.5m×奥行4mなので、存在感があります。
わりと大きめサイズの2ルームテントと同程度ですね。
そのわりに重量は軽く、7.5kg。
とても軽い。
そして収納サイズも72cm×20cm×25cmととてもコンパクト。
積載に優しいですね。
両サイドはGIGI-1と同じ構造が引き継がれています。
ポールで立ち上げることにより、居住空間のゆとりを確保。
この構造のため、どうしてもガイラインを張らなくてはいけないところです。
実は私がZANE ARTSがいいと言っておきながら、なぜ買わないのか、の理由のひとつが、マストのガイラインが多いこと。
もちろんしっかりテントを張るためには必要なんですが、ガイラインが多いと頻繁に子供が引っ掛かったり、ガイラインを引っ張ってぐるぐる回ったりするので、できれば自立式のものがよかった、というのがあります。
ただ、このGIGI-2においては、このサイズ感だったらこの本数ぐらいのマストなガイラインがあってもいいかな、という折り合いがついた感じです。
ガイラインは二股の4mm。
この細さがまたシャレてますね。
二股ですが、風がさほど無ければ、まとめて1本のペグに引っ掛けて手間を端折ってもよさそうです。
天井高は220cm。
高い方が空間的にゆとりはできますが、高くし過ぎても風の影響を受けやすくなるだけなので、まぁ妥当な高さかと。
当然のことながら、クローズ状態だと、ドームタイプの220cmより屈む頻度は高くなります。
中を覗き込んでみました。
ポールの外側のスペースだけで2Pのドームテントが収まっています。
カンガルースタイルにしてもリビング側に差し支えなくていいですね。
ヘリノックスのチェアとテーブルで統一感のあるレイアウト。
このセットなら荷物がコンパクトに収まりますね。
外側のポールで立ち上がっていることで空間が広く、問題なく収まっています。
実際にこんな感じで使いそうですね。
対面にはコットが設置されていました。
コットがあると土間で寝ることができて、過ごし方の幅も広がるので便利です。
まさに、パパはコット寝、ママと子供はドームテントで、のイメージ通りですね。
ベアボーンズのエジソンストリングランタンLEDが吊り下げられています。
扱いやすくて雰囲気も良いおすすめのLEDランタン。
通気、空気循環用の下部ベンチレーター。
大きいので窓代わりにもなります。
幕の中からちょっと外が見えるだけでだいぶ気分的に明るくなる、と私は思います。
余裕のあるロースタイルキッチン。
先ほども書いた通り、クローズするとなるとここまでの余裕は持てなさそうです。
もう少しタイトなレイアウトになるかと。
インナーを使わずに宴会幕として使うなら8人で余裕、詰めれば10人ぐらいまでいけるんじゃないかな〜、という感じでした。
ヘキサライト6Pと同じように、外側から引っ張ることで空間を広げることができます。
両側を引っ張れば、座り姿勢の時に50cmぐらいは余裕ができそうです。
こちらがメインポール。
強度と軽さのバランスが良い、アルミ合金製の30mmポール。
色も渋くていいですね。
よく見ると、上の方にさりげなくロゴが入っています。
このポールの軽さにより総重量7.5kgが実現できているんですね。
トップベンチレーターはそれぞれのポール脇に1つずつの計2ヶ所に、開閉式のものが付いています。
気になったところ
だいたいイメージしていた通り、とても良さそうなGIGI-2。
あえて言うならここを気にするべき、という点も挙げておきます。
サイズが大きい
両サイドのエクステンションポールはガイラインの使用がマストになります。
そもそも全幅7.5mと大型なのに加え、ガイラインのペグダウンのために、プラスで1mずつのスペースが必要です。
都市型のキャンプ場などの狭い区画では使えない、という制約があります。
フリーサイト推奨幕ですね。
スカートが無い
GIGI-2にはスカートがないため、地面から5cmほど隙間が空いていました。
この点は寒い時期の弱点になりうるでしょう。
サイズが大きいから灯油ストーブなどの暖房も効きづらいですしね。
ただ、たしかにスカートはあった方が暖かくなりますが、この手の跳ね上げるタイプの幕のスカートは、とても見た目に差し支えます。
それが理由かどうかはわかりませんが、個人的には潔くスカート無しで攻めたところに、とても好感が持てました。
ちなみにこの隙間、ゴムのループが長いために生じているので、ゴムが取り付けられている根本のループを直接ペグダウン、というのを試してみたいですね。
そうすれば少しは解消されるんじゃないでしょうか。
ま、メーカー非推奨でしょうけど。
GIGI用インナーテント
同じタイミングで発表された、GIGI用のインナーテントも展示されていました。
現地ではGIGI-1にインストールされた状態。
ポールトップにあるDカンに引っ掛ける構造。
ボトムは6ヶ所ペグダウンです。
これはちょっと手間ですね。
フライシートに引っ掛けるタイプが良かった。
電源コードを通すための口があります。
ご覧の通り2人用。
ジャストな2人用。
バックパック程度なら置けるスペースがあります。
全面メッシュにできるので、風通しは良好。
背面側も出入りできます。
ただ、GIGI-2の場合、ポールの外側につけるとフライシートが開かないため、どのみち出入りできません。
素直な感想としては、展示されていた通り2Pテントインでいいんじゃないかと。
すでに持っていれば買い足す必要もないですしね。
2ポールシェルター候補筆頭になりうる幕だった
「他の2ポールのシェルターとの違いは?」と聞かれたら、わかりやすい違いとしては「両サイドが立ち上がって空間を有効に使える」ぐらいしか挙げられないかもしれません。
最後の最後に言っておきたいのはやはり価格です。
この幕が税込65,780円だなんて。
デビュー作も、初回ロットを逃したら、しばらく買えない時期が続きましたが、この第二作も同じように品薄状態が続きそうな予感がします。
ではまた。
Have a good camp.
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