四季折々の風景を楽しめる日本の気候、せっかくなら冬場は、趣のある雪景色を味わいたい。子供にとっても、雪だるまを作ったりソリ滑りをしたり、普段はできない楽しいことがいっぱい。
ただ、雪中キャンプは楽しいだけでなく、夏のキャンプには無い大変なことも色々あります。そんな雪中キャンプで辛い思いをしなくて済むように、抑えておきたいポイントをまとめてみました。
しっかり備えたい持ち物編
ソロや大人だけの慣れた方のキャンプなら最低限の装備でも乗り切れるかもしれません。ただ、小さい子連れのファミリーキャンプとなるとそうもいかないので、とにかく入念な準備が必要です。
1・できる限りの暖かい服とたくさんの着替え
インナーは、高性能のファーストレイヤー(ユニクロの超極暖でも可)に、フリースのような起毛素材で暖かい服を重ねられるだけ重ね着。アウターは、厚手のダウンに加え、ちょっと外で作業をするだけですぐ雪で濡れてしまうので、表地はできればゴアテックスなどの防水透湿素材が望ましい。
さらに、手袋・帽子・マフラーやネックウォーマーなどで、肌の露出を防ぎ、仕上げに足元は、厚手の靴下と裏地付きのブーツや長靴。
子供は雪でアウターが濡れるだけでなく、汗でインナーも濡れるので、とにかくたくさんの着替えが必要です。
あとは、濡れたものを乾かすために携帯用のハンガーなんかもあるといいですね。
2・パワーのある暖房器具
ストーブなどの暖房器具の携行はマスト。ガス系は低温だと点きにくくなる上に、暖房効果も弱め。最低でも火力の大きな灯油ストーブ、それに加えて薪ストーブを掛け合わせれば言うことなし。薪ストーブのみだと、薪が燃え尽きた時に寒くなるので、優先順位的には、灯油ストーブ→薪ストーブが良いかと。
調理用のバーナーもですが、ガス器具は低温だと点かないことがあるので、それだけに頼るのは危険です。ガスならせめて比較的低温に強いOD缶の器具を推奨します。
3・なるべく暖かいシュラフ
3シーズン用と言う分類があるぐらいなので、それほど春夏秋と冬では状況が異なるということです。夏に使うようなシュラフでは、非力過ぎて冬の寒さには太刀打ちできません。
具体的には、コンフォート温度マイナス10度ぐらいを最低スペックとして、それ以上の性能のものが理想。暑い分には脱げば済みますが、寒かったらもうどうにもなりません。
4・湯たんぽやカイロ
もし寝袋のスペックが充分じゃない場合、湯たんぽやカイロが助けになります。シュラフは、中の発熱量が大きければ大きいほど暖かくなるので、湯たんぽやカイロで補助してあげることで本来のスペック以上の暖かさになってくれます。
カイロ程度じゃ、と思うかもしれませんが、寝る時にカイロをいくつか寝袋の中に放り込んでおくだけで、何も無いよりかなり暖かくなります。
5・スコップ
雪中キャンプをする上で欠かせないのがスコップ。雪をかいたり地面を均したりと、頻繁に出番があります。車がスタックしてしまった時にタイヤ周りの除雪にも使えます。
スコップには色々種類がありますが、軽くて硬い中型の樹脂タイプのものがおすすめ。鉄製のものは丈夫だけど重いので、金属であればアルミ製の方がいいですね。折り畳みや伸縮ができるコンパクトなタイプなら、積載の妨げにもなりません。
たかがスコップでもこだわりたい、という方は人気のブランドMSRのスコップなどいかがですか? まぁ機能的には、ホームセンターに売っているような1,000〜2,000円ぐらいのもので充分だとは思いますが。
6・電源サイトの利用も視野に
暖かさの確保や安全性の点から言うと、電源サイトでヒーターやホットカーペットを使うのも有効です。灯油ストーブのような燃焼系の器具につきまとう一酸化炭素中毒のリスクから解放される、というのは大きな利点です。併用して、暖かさアップというのも効果的。
我が家の場合、寝袋は若干非力ですが、寝ている間もヒーターやホットカーペットをつけっぱなしににすることでなんとか凌いでいます。
電源ポストからテントまで離れている場合もあるので、最低でも10mの電源コードは用意しておきたいところ。
テント倒壊に注意したい設営編
続いては雪上での設営について。設営においても、普段とは勝手が違うことが多々あります。
7・雪をかくか足場をならしてから設営する
まず始めに、雪が積もっている場合、できるだけ除雪しましょう。可能であれば、設営スペースには雪が積もっていない状態が望ましいです。テント内の雪はストーブの熱で溶けてベチャベチャになり、それが冷えると今度はツルツルの氷になってしまいます。
除雪しきれないぐらい積もっている時は、しっかりと踏み固めてから設営開始。間違ってもふかふかの雪のまま張ろうとしないでくださいね。
8・普通にペグダウンできない場合に備える
たとえ踏み固めたとしても、雪は土ほどに固くはなりません。土の地面の時は絶大な効果があるエリステのような細いペグは、雪上ではあまり役に立ちません。
砂浜などと同様に、専用のペグか、代わりになりそうな幅広ペグが必要です。あるいは、周囲に石や丸太など重いものがあれば、そこにガイラインをくくりつける、という手もあります。
9・定期的に雪を払う
雪が降り続くと、テントの上に段々と雪が積もっていきます。そして、重みで徐々にテントが圧迫され、ポールが曲がったり破損したり、最悪の場合、テントが倒壊してしまうこともあります。
降雪量にもよりますが、定期的にテントを叩いて積もっている雪を落としてあげましょう。雪が多い時は、夜中でも何度か起きて確認が必要です。
10・換気に注意
雪が積もることによる、もうひとつの影響があります。通常であれば、テント内は裾の隙間や、ベンチレーターにより、ある程度換気されています。しかし、雪が積もるとそこが塞がれてしまい、換気が行われなくなってしまいます。
そもそもテント内でストーブを点けるのは推奨されていませんが、やはり寒さが厳しいとどうしても点けてしまいますよね。テント内でストーブを点けて換気ができなくなると、一酸化炭素中毒になり、最悪死に至ります。出入口のパネルを開けて何かで支えるなど、換気口が塞がってしまわないように対策を。
11・木の下に設営しない
雪が降る地域では、軒下で雪かきをしていたら、屋根の雪が落ちてきて生き埋めになった、みたいな事故がたまにあります。木の下も同じで、溜まっていた雪が風などで揺れて、ドサっとまとめて落ちてくることがあります。
たかが雪と思うかもしれませんが、特に春先などの水気を含んだ雪はとても重く、まとめて身体に乗ると、身動きが取れなくなることも、、。
頭上を見上げて、落ちてくるものが無いかをしっかり確認してから設営しましょう。
12・氷を溶かすバーナーや砕くハンマーを用意する
雪上で焚き火をしたり、ストーブを点けたりすると、その熱で下にある雪が一旦溶けます。そして夜になり、溶けたところがまた冷えると、翌朝にはカッチコチに凍ってしまいます。その上に置いてあったものはまるでオブジェのように、見事に氷と一体化。
動かせるものであれば、溶けたところから動かして、凍りつかなさそうなところに避難して回避可能。ただ、テントの中でストーブを点けると、テントのペグがその状態になってしまうことがあります。そうなったらもう頑張って抜くしかないので、別のペグをノミのように打ち込んで砕くなり、バーナで周りを溶かすなり、なんとかして救出するしかないですね。
とにかく安全第一のクルマ編
そしてこちらも備えが不十分だと命に関わることになる、車周りの対策。
13・タイヤ周りの備えはマスト
私の考えでは、「多少の雪ならなんとかなるかな」ではなく「降るかもしれない」であれば、スタッドレスタイヤを履いた方がいいと思っています。とは言え、スタッドレスタイヤも安くはないですし、雪上を走る回数が片手で収まる程度だと割りに合わないですよね。最低でもチェーンは携行すべきで、それが無理なら「降るかもしれない」時期にそういうところへ行くのは控えた方が無難かと。雪が降っていなくても、道路が凍結しているのが怖いんですよね。
ちなみにJAFの方に聞いた話では、オールシーズンタイヤは雪道にはほぼ効果が無いそうなので、オールシーズンタイヤ履いてるから大丈夫とはならないようご注意ください。
14・4WDを過信しない
悪路に強い4WDですが、車の走破性が高いからといって過信は禁物。平地や上り坂で雪が積もった路面ならたしかに優位ですが、凍結路面では4WDも2WDも関係なく滑ります。なんなら車重がある大型車は、滑りだしたらより制動が効きません。
札幌に住んでいた頃、スノーボードの帰りに山を下る時、道路脇に突っ込んでいる大型SUVを何台も見掛けました。とにかく急発進・急停止・急ハンドルなどの急のつく運転を避け、慎重に運転しましょう。
慎重過ぎるに越したことはない心構え編
最後に、具体的なことではありませんが、とにかく心に留めておきたいことをひとつ。
15・無理をしない
寒ければ寒いほど、雪の量が多ければ多いほど、それに比例して大変さやリスクも増していきます。時期や地域を選ぶことである程度コンディションはコントロールできるので、いきなり豪雪地帯を攻めたりせずに、まずはたまに降るようなところを狙って少しずつ慣れていくのが賢明なやり方。
そういったところでも、予報から予測して、吹雪や極寒になりそうな時は、無理せずに断念するという判断も重要です。
しっかり対策できてさえいればとっても楽しい雪中キャンプ
荷物が多い、テントが乾かないなど、やはり春夏秋とは勝手が違って大変なことが多い冬のキャンプ。ただ、しっかり知識を身につけて対策できていれば、特にトラブルになることもありません。
しっかり備えて、普段は味わえない楽しい雪中キャンプを過ごしたいですね。
ではまた。
Have a good camp.
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